2022年6月下旬頃からアメリカを含む先進国の軍事支援によりM777榴弾砲や270多連装ロケットシステム(MLRS)などを受領したウクライナは、自国を取り戻すべくロシアへの対抗を続けている。同年2月14日にウクライナへの侵攻を開始して以来キーウ北部を除き着実に支配地域を拡大しているロシアは、ロシア国営放送で「ウクライナに対するこれらの軍事支援は火に油を注ぐことになる」と支援国を非難している。この言及通り、ウクライナ側の戦況は悪化の一途を辿っている。

オーストラリア軍がウクライナ軍に供与した155mmM777榴弾砲
*出典:MilitaryLand.net

新装備を手にしたウクライナ軍は、ロシア占領地の軍事関連施設への攻撃を強めたが、ロシアの民間人にも多くの死傷者を出すこととなり、ロシア国内ではこれらの被害状況を連日報道している。これによりロシア国内の世論は強硬論に転じている。ロシアはアメリカ同様必ず仕返しをする国家であると認識させられる。

ハリキウへの連日の空爆、オデーサへのミサイル攻撃が増し、14日に中部ビンニツァ 15日には、ドニプロへもミサイル攻撃が始まった。

軍事戦略的にミサイルによる破壊力は小範囲と限定的だが、着弾地によっては多大な被害を及ぼす可能性がある。当然ながらウクライナも、攻撃活動を続けなければ、ロシアの侵攻を抑止する事が出来ない。今後戦況は更に泥沼化するとみられる。15日のドニプロの攻撃は、両国にとって新たな局面を迎えている。

ドニプロは2014年からウクライナ軍や民兵組織(外国人義勇兵含む)の前線基地になっており、郊外には武器庫や宿舎、訓練施設が多数存在する。日本人義勇兵部隊(ニンジャ小隊)もニプロ郊外にて活動している。

ウクライナ国内では、大勢のロシア派住民がおり、ウクライナ民間人でありながら、ロシアに軍隊の位置情報を逐一報告しており、問題視されている。筆者も、キーウで何度か保安局の職員に止められてスマートフォンのIMEI(個別識別番号)を提示した事がある。また、パスポートにロシアへの渡航歴があるだけで、一時拘束される可能性もある。

ワルシャワセントラル駅前の食堂テント

2022年4月撮影

ウクライナ避難民は、5月頃から、戦況も落ち着きウクライナに戻る傾向にあり、ワルシャワセントラル駅の食堂も7月末で閉鎖される予定である。

ポーランドでは今、避難民の支援が急激に縮小している。ビザや就労の問題で、帰国を余技なくされており、またウクライナ国内では、国外避難者は非国民扱いされている。とは言えロシアの侵攻により住居を失い、行き場の無い方の大勢いる。

武器を持って戦え!これがウクライナ政府の言い分である。しかし、実際は戦闘をしたくない市民も大多数おり、兵員不足も深刻であり、警察も従軍している。

日本への避難民ビザ申請も以前は、翌日には交付されていたが、現在は保証人の所得証明書や理由書などの追加書類が求められ、1ヶ月程度の審査期間を要する。審査の厳格化は当然の事ながら必要だが、今回のドニプロの攻撃における戦火の拡大によって確実に第2波の難民が押し寄せるのも時間の問題であり、ウクライナ支援が沈静化した今において果たして、各国の対応及び支援者が以前と同じ様に行うかは疑問である。

戦争は災害と違い長期化する場合もあり継続的な支援が必要と言う事を改めて考えさせらる。大手支援団体において、今回のウクライナ紛争は長期化により、赤字事業であり小規模の台風や地震の方が予算が残り運営費に予算をまわせる。

一部の支援団体は短期間で活動を切り上げている。ウクライナ国内でのボランティア活動で飛躍しているのは、ウクライナ人の個人や小規模の新しい組織ばかりである。ウクライナの方々は皆同じ事を言う、今日まで持ちこたえる事が出来たのは彼らのおかげだと。日本では、人道支援のイメージだが、海外のボランティアは軍事的な事まで多岐にわたる。

軍事支援を行っていない日本の支援は本国のウクライナ人にほとんど周知されていない。ウクライナでは食料よりも圧倒的に武器が不足している為人道支援物資はニュースにならない。民兵は10人で小銃1丁と言う地域もあるようだ。まるで、戦時中の日本を思い起こす。

ポーランド航空・ワルシャワ成田直行便、就航初日  2022年4月9日成田空港第一ターミナル

日本のウクライナ支援は前例のない規模と速度で行われたが、まだ諸外国と比べるとかなり劣っているのは実情である。避難民への財団等による給付金支援は世界最高レベルであるが、しかし、SIMカード等の配布は最も遅い。5月下旬に企業協賛により大使館経由で少量のみ配布され、7月になりソフトバンクの協賛により自治体を通して配布された。

地域による支援格差も深刻であり、横浜が圧倒的に充実している。横浜市はオデーサ市と姉妹都市と言う事もあり、支援が行き届いている。7月13日には、支援・交流会場へウクライナ大使も視察に訪れた。15日に話した出入国管理庁の職員との雑談では、やはり横浜が圧倒的に多いとの事である。

私が危惧しているのは、国内に避難民が増えているのもあり、支援団体が避難民支援を優先している点である。優先事項は、ウクライナ本国の支援が先決であり、支援が行き届いていない地域が多数存在する。

ウクライナが降伏すれば、ロシアの支配地域になり、避難民は日本に定住する以外選択肢がなくなる。帰る故郷が無いのも悲しいが、家族と会う事すら容易ではないそんな未来になりつつある。筆者自身、申請中含め約20名の身元保証人となっている。

ウクライナでは、今月ドイツを始めとする5ケ国のウクライナ大使を更迭している。公式発表では、通常の人事変更と言っているが、寄付金を着服しているなどと言う噂も耳にする。ドイツの駐ウクライナ大使の場合は、ドイツに対して攻撃的な発言を繰り返しているのが理由としている。実は、報道されていないが、日本のウクライナ大使館に集まった支援物資のうちの一部(2トン)を運んだのはドイツの政府専用機である。(当初保管施設はアリさんマークの引っ越し社の協賛)

在日駐ウクライナ大使館(2022年4月上旬)

4月上旬、筆者とウクライナ大使との協議で、大使館に集まった支援物資をウクライナまで運んで欲しいと打診があり、支援物資のうちウクライナに送る必要性が優先される物を選別し、約2トンの荷物を航空会社に見積をしたところ、160万円との回答で、実際の価値は40万円程のであり、ウクライナ国内でも調達可能な物ばかりであった。予算の節約の為、当方は断った為、駐日ウクライナ大使が、ドイツ大使館に掛け合い専用機を手配した。成田空港までは佐川急便の協賛) 未確認の情報ですが、4月中旬で50億円の寄付金が大使館に集まっている様だが、その予算はウクライナ政府が使途を決める為、使用出来ないとの事。日本に残った支援物資は、ウクライナ人NPO団体を通じて国内の避難民の方々に提供されています。(送料は佐川急便が協賛で一部を大使館が負担 *ウクライナ支援を行っている企業様が周知されていない為、記載致しました。

Equality Personal Union編集部

By EPU

One thought on “避難民の第2波”
  1. Can I simply say what a relief to uncover somebody that truly understands what they are discussing over the internet. You certainly know how to bring an issue to light and make it important. A lot more people must look at this and understand this side of your story. I was surprised that you are not more popular given that you most certainly have the gift.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です